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泡沫のパティ ある中華料理店での出来事のようです

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ある中華料理店での出来事のようです 

ラノベ参加短編。
参加No.72





60: No,72 :2008/08/31(日) 15:52:23.58 ID:8CLKXd5k0
日本という国の路地裏に店を構える中華料理店がある。
その店は五十三年という長いのか短いのか曖昧な年月を重ねていて
知る人ぞ知る店として地元の人達から愛されていた。

(´<_` )「ツンちゃーん、三番テーブルに餃子とラーメン持っていって」

ξ゚⊿゚)ξ「はーい。今行きまーす」

ピンク色のチャイナ服を来た少女がカウンターへと向かった。
深いスリットが入ったチャイナ服からは日に当たる事を知らない真っ白な太股が覗く。
そのチラリと見せる太股に鼻の下を伸ばす者もいれば、少女の笑顔に癒される者もいる。
どうやらこの店にやって来る者の最近の目当ては、食事よりもツンという看板娘を拝む為のようだ。

( ゚∋゚)「ツンちゃん今日も可愛いね。おじさんとデートしない?」

ξ゚⊿゚)ξ「ダメですよー。私だって一応彼氏がいるんですから」

( ゚∋゚)「彼氏って誰? まさかマスターの兄者君とか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いやいやそれはないですよ」

( ゚∋゚)「ですよねー」

( ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「兄者、厨房から客の話聞いている余裕があったらさっさと炒飯炒めろ」

中華料理店『武楽紅羅』は今日も元気に営業中です。




61: No,72 :2008/08/31(日) 15:52:56.73 ID:8CLKXd5k0



ある中華料理店での出来事のようです




64: No,72 :2008/08/31(日) 15:54:48.21 ID:8CLKXd5k0

昼休みのラッシュも終え、店内には遅めの昼飯を食べに来た老人達しかいなかった。
暑そうにカウンターの扇風機を占領しているツンは残り物の炒飯を食べている。
そんなツンの隣に来た弟者は二つ持っていたカップの一つをツンに渡す。

(´<_` )「お疲れ様」

ξ゚⊿゚)ξ「ありがとう弟者君」

(´<_` )「いつもごめんね、後一人くらいバイト入れば少しは楽になれるんだけど」

ξ゚⊿゚)ξ「これ位平気よ。それに、私は好きでここに働いてるんだから」

ご飯の粒を口端に付けて笑って見せるツンに弟者も笑みを浮かべた。
和やかな空気が漂う二人の間に割り込むように悲痛な叫びが店内に響く。
だが食事を終え、談笑をしている老人達はそんな声など気にせず話を続けている。

弟者は呆れた風にひとつ大きな溜息をつくと、振り返りカウンター越しに見える厨房を見渡す。
そこには弟者とよく似た男が天井に刺さった中華包丁を引き抜こうとしていた。

(´<_` )「兄者はまた何をしたんだ」

( ´_ゝ`)「流石流中華奥義其三十五"高速千切り"を試そうと思って」

(´<_` )「練習なら店が終わってからでもやれ。
     この間客席に包丁が飛んで危うく死者を出す所だったんだぞ」

( ´_ゝ`)b「ここのご老人達は肝が座った人達ばかりだから平気だ」




65: No,72 :2008/08/31(日) 15:55:47.76 ID:8CLKXd5k0

何を根拠にそんなことを言うのか、兄者は自信満々な態度を取ると天井に刺さった中華包丁を引き抜いた。
ツンは弟者の時より呆れた溜息を吐くと、渡された水を一気に飲み干し
花で兄者を笑って見せると嫌味っぽい言い方をした。

ξ゚⊿゚)ξ「単に兄者の包丁飛ばしにおじいちゃん達が慣れただけでしょ。全くこっちまでヒヤヒヤするわ」

(♯´_ゝ`)「包丁飛ばしなんかじゃない! これはちゃんと流石流中華奥義其三十五という名前が……」

ξ゚⊿゚)ξ「流石流とか言ってるけど、一つも自分の物に出来ないで包丁飛ばしてるだけじゃない。
     代々続く御先祖様に申し訳ないと思わないの?」

(´<_`;)「ツンちゃんその辺で……」

(♯´_ゝ`)「ムキーッ! ただの従兄弟のくせに偉そうな口で何をぬかすか!今日という今日は絶対に許さん!」

ξ゚⊿゚)ξ「まともに運動も出来ないアンタが私に勝てると思ってるの?」

カウンター越しに怒りに満ちた兄者と、勝つ気満々の笑みを浮かべるツンの間で火花が飛び散る。
間に立つ弟者は止める事を諦めたのか、邪魔にならないようにツンが完食した皿を流しに持って行った。
脇にいる老人達はこの状況を微笑ましそうに眺めてお茶を啜っている。

(♯´_ゝ`)「表にでろぉ!」

ξ゚⊿゚)ξ「上等よ! その微妙な鼻へし折ってイケメンにしてあげるわ!」

( ´_ゝ`)「それは嬉しいけど痛いのは嫌だなぁ」

慌ただしく外に出る二人を見送った弟者は、老人達のテーブルへ行くと空いた皿を下げに行った。




66: No,72 :2008/08/31(日) 15:57:14.27 ID:8CLKXd5k0

/ ,' 3 「若いもんは元気があっていいですな」

(´<_` )「兄者もツンちゃんも仕事そっちのけでああだからな……」

J( 'ー`)し「弟者さんは混らないんですの?」

(´<_` )「俺までああなったらこの店持ちませんよ」

笑いながら言う弟者の視線の先には攻防戦を繰り広げているツンと兄者の姿があった。

突然先代の父親が旅に出てからというものの、兄者と弟者は慣れない料理に悪戦苦闘していた。
そんな時、兄者と同い年でもある従兄弟のツンが手伝いに来てから店の経営は回復し始めた。
高校卒業したばかりの二人で店を初めて二年。ツンが来て半年。
長いようで短い二年だったな。ツンに鼻を殴られた兄者を見て弟者はそう思った。

/ ,' 3 「ところで注文をお願いしたいんじゃが」

(´<_` )「おじいちゃん炒飯はもう食べたでしょ!」

/ ,' 3 「こりゃうっかりじゃわい」

笑いで溢れる店内に兄者が勢い良く飛んで来た。
頭から厨房へ飛び込んだ兄者は皿や鍋をひっくり返してその場に倒れる。
弟者は眉間に皺を寄せると厨房へ足を運ばせた。




67: No,72 :2008/08/31(日) 15:58:16.93 ID:8CLKXd5k0

(´<_`#)「兄者。喧嘩するのは勝手だがこうも店の物を壊されると赤字が重ばると何度言えば……」

ξ;゚⊿゚)ξ「みんな伏せて!」

切羽詰まった表情のツンが店に入って来る。
その場にいた老人達や弟者はツンの発言に戸惑い首を傾げていたが
ツンの後方から現れた黒ずくめの男達を確認すると、店内の空気が張り詰めた物に変わった。

(´<_`;)「おじいちゃん達机の下に隠れて!」

弟者の叫びに老人達が慌てて机の下に身を隠した。
それとほぼ同時に、老人達が隠れている机の上を椅子が飛んで来た。
黒ずくめの男達が店に入るなり椅子や机を投げ飛ばしたからなのだった。

( `ハ´)「兄者さんよぉ。いい加減借金耳そろえて返して下さいアル!」

( ´_ゝ`)「だから何度言ってるようにアレはウチの父者がコンパやパチンコで使ったから
      俺に言われても困るんですよ」

頭に鍋を被せて兄者が厨房から面倒臭そうに顔を出して答えた。

この店には先代の父親が作った借金があった。
厳密に言うと先程兄者が言っていたように店に使ったお金ではなかったのだが。
更に最悪な事に、借金を借りたのは近所の闇金融会社で
毎月第三水曜日は必ず借金の取り立てに来ていたのだった。

( `ハ´)「うるさいアル! その肝心な父者は行方知れず
     ならその息子が代わりに借金を返すのが当たり前アル!」




69: No,72 :2008/08/31(日) 16:00:41.13 ID:8CLKXd5k0

ξ#゚⊿゚)ξ「だからお金が揃い次第返すって言ってるじゃない! このヒゲ野郎が!」

(#`ハ´)「ヒ、ヒゲ野郎だと!? 私を侮辱したアルね! もう許さないアル!」

鬼の形相をした借金取りがツンに襲い掛かってくる。
ツンは慌てる訳でもなく涼しい表現で向かって来るシナーを眺めていた。
その態度は借金取りの怒りを更に増幅させる元となった。

( `ハ´)「死ねアル!」

借金取りは自身の身長より低いツンに向かって上から拳を降ろした。
しかしツンと借金取りとの間に大きな物体が入った為、ツンはその拳から免れる事が出来た。
金属を叩く痛々しい音が響いた後、借金取りは痛そうに涙を流しながらその場に蹲る。

( ´_ゝ`)「怪我はないか?」

ツンの前に立つ兄者が鍋の蓋を片手に尋ねる。
一見格好良さそうに見えるが、兄者の頭には先程ツンに投げ飛ばされた時にハマった鍋があった。

ξ゚⊿゚)ξ「アンタなんか来なくても私一人で倒せたわよ」

( ´_ゝ`)「そうは言っても一応これは流石の問題だからな。
      出来ればお前はこの争いに関わらせたくないんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「あら、私はこの店の看板娘よ。この店の借金なら流石家なんて関係ないわ」

自信に満ちた笑みを浮かべるツンは兄者を押し退けると目の前のヒゲ男の大群に向かって走り出した。
走りながらスリットの内側に隠していた二本の棒を取り出す。
棒と棒の間には固い鎖で繋がれているそれはヌンチャクだった。




70: No,72 :2008/08/31(日) 16:01:56.37 ID:8CLKXd5k0

ξ゚⊿゚)ξ「さぁて、ショウタイムの始まりよ!」

ツンはヌンチャクの棒を片方だけ掴むと、もう片方の棒を振り回した。
遠心力の力で回り出す棒はヒゲ男の顔面に当たり、ドミノの様に次々と倒れていく。
時々向かってくる敵を蹴りながらツンは器用にヌンチャクを使って蹴散らしていく。

(´<_` )「ツンちゃん危ない!」

ツンの背後に近付いて来た男に向かって弟者は肉まんを投げる。
弟者の声に反応して振り向いた男は目の前に飛んで来た肉まんを反射的に口の中へ入れてしまった。

(*`ハ´)「むむ、これは中々旨いアル。材料は一体何アルか?」

(´<_` )「普通の肉まんの材料にワサビ、からし、唐辛子、ブラックペッパー、ハバネロ
      その他諸々の辛い調味料を隠し味にした」

( °ハ°)「っくぁzxすぇdcvfrtgbんひゅjmき1?!」

舌に辛さが行き届いたのか男は奇妙な悲鳴を上げてその場に倒れた。
弟者は蒸し機から大量の激辛肉まんを取り出すとツンに倒されながらも尚息の根がある男達の口に押し込んだ。

(´<_` )「辛党向けに俺が開発した新商品なんだ。食ったら是非感想を聞かせてくれ」

泣きながら悲鳴を上げる男達に構わず弟者は肉まんを口に詰める。
そんな弟者を遠くから眺めている兄者は襲いかかって来る男達をフライパンで叩きながら身震いをしていた。




71: No,72 :2008/08/31(日) 16:04:26.41 ID:8CLKXd5k0

( ´_ゝ`)「人の事言えないけど弟者の探求心も中々怖いよな……」

(=`ハ´)「アチョォォオオオ」

( ´_ゝ`)「流石家流中華奥義其百六十二"黒光虫瞬殺"!」

背後から聞こえた声に反応して兄者はフルスイングを後ろの男に食らわせる。
野球ボールのように遠くに飛ばされた男はツンと向き合っている集団にぶつかり
借金取りの男達の顔に焦りが見えた。

(メ`ハ´)「お、お前らみんなでかかるアル!」

( `ハ´)`ハ´`ハ´)`ハ´)`ハ´)`ハ´)`ハ´)`ハ´)`ハ´) アルアルアー!!

( ´_ゝ`)「ツン、来るぞ」

ξ゚⊿゚)ξ「上等じゃない。行くわよ兄者に弟者!」

(´<_` )「合点承知」

ツンはヌンチャク、兄者はフライパン、そして弟者は激辛肉まんを片手に向かってくる男達を倒していく。
そこから少し離れた机の下では、老人達が目の前で繰り広げられている戦いに興奮し
狭いスペース内で拳を握って応援していた。

J( 'ー`)し「やっちまえツンちゃーん!」

/ ,' 3 「あんなチャイニーズに負けるなー」




72: No,72 :2008/08/31(日) 16:05:28.27 ID:8CLKXd5k0

ツンのヌンチャクが男達を蹴散らし隙を与え
とどめに兄者のフライパンが男達の顔面に当たる。
それでも尚闘う意思が強い奴は弟者の激辛肉まんで倒れる事になった。

それから数十分後、店内は凄まじい位に荒れた姿を見せていた。
ホールには大量の男達が気絶していて、中には激辛肉まんの辛さに耐え切れず泡を吹いている者もいた。
ツンは男達を一瞥すると素早い動きでヌンチャクを回し、懐に収めた。

ξ゚⊿゚)ξ「毎月毎月こいつらも飽きないわね」

(´<_` )「あいつらにとっちゃこれが仕事だからな。兄者、この残骸達はどうする?」

( ´_ゝ`)「取り敢えず先月みたいに縄で縛って顔にバカとかって落書きするか」

(´<_` )「流石だな兄者、今時コロコロでもそんなネタやらないぞ」

弟者はそう言いながらも縄を取り出して男達を次々に縛り上げていく。
ツンは伸びている男達を眺めながら隣にいる兄者に声を掛けた。
その表情はどこか悩んでいるようにも見えた。




73: No,72 :2008/08/31(日) 16:07:35.76 ID:8CLKXd5k0

ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、私やっぱり給料いらないわ」

( ´_ゝ`)「何だ? 借金の件が気掛かりなのか?」

ξ*゚⊿゚)ξ「べっ、別に借金の負担になるから払わなくても良いって訳じゃないからね!」

( ´_ゝ`)「ツンデレktkr。まさかツンに心配掛けられてしまうとはな。
      大丈夫だ、そこまで金に困っている訳でもないし何とかなるだろう」

ξ゚⊿゚)ξ「でも……」

(´<_` )「兄者の言う通りだよツンちゃん。俺達からしたら安い給料で毎日来てくれるだけで有り難いんだ。
     だからツンちゃんが何も気にする事はないよ」

弟者は全員縛り終えると手を払ってツンの方を振り向く。
それとほぼ同時に兄者の左手がツンの頭上に置かれた。
兄者と弟者を交互に見ながら、ツンは先程の兄者達の発言に胸の置くが熱くなるのを感じた。

(´<_` )「今はまだ何もお返し出来ないけど、いつか必ずツンちゃんにはお返しをするよ」

( ´_ゝ`)「いつもありがとうな」




74: No,72 :2008/08/31(日) 16:08:12.26 ID:8CLKXd5k0

兄弟は同時にツンに向かって軽く頭を下げた。背後には老人達が良い話だな、と言いながら涙ぐんでいる。
気恥ずかしくなったツンは腕を組みそっぽを向くと、頬を微かに赤くしながらぶっきらぼうに答える。

ξ*゚⊿゚)ξ「……勝手にすればいいじゃない」

( ´_ゝ`)「皆様あちらに見えますのが当店名物のツンデレ娘でございます」

(´<_` )「どうぞこのツンデレっぷりを堪能して下さいませ」

ξ゚⊿゚)ξ「あんた達のそういうノリの良い所、時々嫌になるわ」

ツンは白けた目でバスガイドの物真似をする兄弟を見ると、荒れた店内を片付けに行った。

ツッコミもされない悲しみにも負けず、兄者はポケットから油性ペンを取り出した。
老人達は油性ペンを目にするなり、老体らしからぬ素早い動きで兄者からペンを奪い取った。
ペンを片手に向かう先は伸びて借金取りの男達の顔だ。

/ ,' 3 「らくがきんちょらくがきんちょ」

J(*'ー`)し「これが楽しくて毎日通っているようなもんじゃわ」

( ´_ゝ`)「終わったらペンはカウンターに戻して下さいねー」

兄者はそう言うとヘコんでしまったフライパンを片手に厨房へと戻った。
弟者はツンと一緒に店の片付けをしており、歪んでしまった椅子や机を直していた。




75: No,72 :2008/08/31(日) 16:09:10.66 ID:8CLKXd5k0

( ´_ゝ`)「さーて、もうすぐ夜のお客様がやってくるぞ。ちゃっちゃと片付けてフォーメーションAに付くからな」

ξ゚⊿゚)ξ「了解!」

(´<_` )「把握した」




中華料理店『武楽紅羅』は今日も借金を返す為に仲良く営業中です。




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