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泡沫のパティ l从・∀・ノ!リ人妹者に彼氏が出来たようです

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l从・∀・ノ!リ人妹者に彼氏が出来たようです 

スレ立て短編

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:01:07.68 ID:vuj+wAIt0

春が近づいたと言ってもまだまだ肌寒い。
夏に比べてトイレが近くなりやすいのは至極当然な事で、早足になりながら俺は階段を掛け降りていた。

階段を降りてすぐさまトイレへと行こうとした矢先、後方から電話の呼び出し音が鳴り響いた。
こっちは膀胱が破裂するかどうかの瀬戸際に立たされているのにそれはないだろう。
しかし廊下にいるのは俺だけで、他に誰かが電話を取りに来る様子もない。

漏らしたらお前のせいだからな。そう電話に悪態つきながら受話器を取った。

( ´_ゝ`)「はい、流石ですが」

『えっとすいません、妹者さんはいますか』

(;´_ゝ`)「……!」

耳に伝わってくる舌ったらずな声に俺の動悸は激しくなった。
たまに妹者宛に来る電話の子とは違う、変声していないながらにはっきりと分かるその声。
受話器を握る手に汗が噴出した。

(;´_ゝ`)(お……男から妹者に電話だと……!)

いつかこの日が来るとは思っていたがまさかこんなに早く来るとは。
信じられない気分になった俺は、耳元で呼び掛ける声を忘れて、声にならない悲鳴を上げた。



l从・∀・ノ!リ人妹者に彼氏が出来たようです

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:04:59.63 ID:vuj+wAIt0

『あのーもしもし?』

ショックで尿意をも忘れた俺は再び呼び掛けられた声を聞いて、ようやく現実に戻って来た。
今まで妹者が男の子と遊ぶ事は何度かあった。
しかし電話を掛ける程仲の良い子がいた事は記憶していない。

それに最近の子供はやたらマセている。小学生が彼氏彼女の話を普通にする位だ。
つまりこれはボーイフレンド。彼氏という訳なのか。

いやしかし落ち着け流石兄者。
もしかしたら最近出来た友達かもしれないだろう。
妹者だってもう小学三年生だ。俺達も把握出来ない程沢山の友達がいるに違いない。

何だ、別に驚く事など何もないじゃないか。
不安そうな声をしている電話相手に対して、俺はありったけの愛想のある対応をしようとした。

( ´_ゝ`)「妹者な、ちょっと待っててくr」

l从;・∀・ノ!リ人「おっきい兄者電話なのじゃ!?」

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:07:39.67 ID:vuj+wAIt0

いつからいたのだろうか、気がつけば俺の隣に妹者がいた。
その顔はどこか慌てている様子で、明らかにいつもの妹者と違っていた。

( ´_ゝ`)「うん、妹者にって男の子から」

l从・∀・ノ!リ人「あ、ありがとうなのじゃ!
         じ、じゃあおっきい兄者はあっち行っていいのじゃ!
        ばいばーいなのじゃ!」

早くどこかに行って欲しいのか、妹者は引ったくるように受話器を受け取ると
俺の背中をぐいぐい押して、電話台から離そうとしている。

ますます怪しい。

(;´_ゝ`)「いやべぇ! 漏れる漏れる!」

そこまで考えていると、止まっていたはずの尿意が再び盛り返してきた。
慌ててトイレへ駆け込み、破裂寸前の膀胱を解放させる。

( ´_ゝ`)「ふぅ……」

思わず安堵の溜め息も出る。ひとまず漏らす危機は免れた。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:11:20.40 ID:vuj+wAIt0

冷静になった所で、俺は再び妹者の事を考える。
その場から俺を追いやりたかったのは、恐らく電話の内容を聞かれたくないからだろう。
では何故聞かれたくないのか? やましい事でもあるから?

( ´_ゝ`)「妹者……」

ついこの前まではちっちゃな赤ちゃんだったのに、いつの間にこんなに大きくなったんだろうか。
おっきい兄者キモいのじゃ! 何て言われるのはまだまだ先だと思っていたのに
現実はすぐそこまで来ているみたいだった。

一人寂しい気分になりながら、便所の水を流した。
いつまでも子供じゃないとは分かっていても、実際現実を目の当たりにすると耐えきれない物がある。
無意識に溜め息が漏れる。見知らぬ少年からの電話ごときでこんなに落ち込んでしまうとは思わなかった。

用を足すと、トイレのドアを少し開けて妹者の様子を伺った。
周りを気にしているのか会話は小声だ。その表情は微かながら嬉しそうにも見える。

暫くの間トイレから妹者を観察していたが、俺の視線に妹者はすぐに気付いた。
驚いたような、慌てたような表情をすると妹者は先程とはうって変わって大きな声で話す。

l从;・∀・ノ!リ人「じゃあ、まだ明日なのじゃー。バイバイなのじゃー」

受話器を置くと妹者は俺を見ずにそそくさとその場から立ち去った。
俺はトイレから出て、居間で一人ぎこちなくテレビを見ている妹者の隣に座ると
どう切り出そうか考え、ひとまず落ち着いて話しかける事にした。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:15:24.33 ID:vuj+wAIt0

( ´_ゝ`)「妹者」

名前を呼んだだけなのに、妹者は驚いたように肩を跳ね上がらせて俺の方を向いた。
視線はキョロキョロしていて定まらず、笑った顔は少し引きつっていた。

( ´_ゝ`)「電話の相手、誰だったんだ?」

l从;・∀・ノ!リ人「お、おっきい兄者には関係ないのじゃ!」

( ´_ゝ`)「関係ないけど気になるじゃないか。随分親しそうだったし」

l从;・∀・ノ!リ人「何でそんな事まで聞いてくるのじゃ! おっきい兄者は変態なのじゃ!」

不安げな表情から徐々に怒りの色を見せて来た。
普段温和な妹者が怒る事なんて滅多になくて、俺は顔を赤くして怒る妹者にたじろいた。

(;´_ゝ`)「否定は出来んが俺は妹者を心配して……」

l从#・∀・ノ!リ人「余計なお世話なのじゃ! おっきい兄者何て嫌いなのじゃ!」

妹者は大きな声でそう言い切ると、立ち上がり自分の部屋へと行ってしまった。
階段を掛け上がる足音に苛立ちを感じる。
怒らせてしまったのは俺のせいなのに、俺は酷く落胆していた。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:18:20.02 ID:vuj+wAIt0

机に肘を着いて頭を抱えていると、背後から人の気配がした。
振り向かずとも誰か大体わかる。妹者な訳はないし、母者の独特的な威圧感は感じない。
父者は残業で夜は遅くなると言っていたし、弟者は今頃俺のいない隙にパソコンでもしているのだろう。

消去法で最後の一人、姉者だと判断するも俺は振り向く事をしなかった。いや、出来なかった。
それよりも先程投げ掛けられた妹者の言葉の方が、俺の背中に重くのし掛かっていた。

喧嘩をして嫌い、だなんて珍しい話ではないが、相手が妹者だと何故かダメージが大きい。
さながら顔面KOされたボクシング選手のようにうなだれていると、姉者が呆れた様な声で話し掛けて来た。

∬´_ゝ`)「夜からうるさいわね、何やってんのよ」

(; _ゝ )

∬´_ゝ`)「……おっきい兄者何て嫌いなのじゃ」

( ´_ゝ`)「別にショックなんか受けてない」

∬´_ゝ`)「誰もそんな事聞いてないわよ」

顔を上げると、先程まで妹者が座っていた席に姉者が座っている。
風呂上がりなのだろうか、髪は濡れていて首にタオルを掛けていた。

数ヶ月前、恋人から渡されたという婚約指輪が左手の薬指に光る。
姉者に彼氏が出来たときは特別何も思わなかったのに、どうしてこうも差が出ているんだろう。
落ち込んだ心が更に重くなり、気付けば一人では立ち直れるか怪しいくらいになっていた。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:22:21.13 ID:vuj+wAIt0

こんな時は、誰かに呟きを聞いて欲しい気分になる。
さして興味もなさ気に色恋沙汰のドラマを見ている姉者に対して、俺は溜め息と共に独り言を零した。

( ´_ゝ`)「姉者……俺ってシスコンなのかな」

∬´_ゝ`)「弟と禁じられた恋をする程愛には飢えていないわ」

( ´_ゝ`)「俺だって実の姉と愛を結ぶ程夢を見てないわ」

姉者に話を聞いて貰おうと考えた俺が馬鹿だった。弟者の方がまだ現実的な返答をするぞ。
俺は口には出さずに、心の中でそう悪態付いた。

そこからは会話も途切れ、テレビの男女が口論している声以外は何も聞こえなくなった。
元より姉者とは前程一緒にいる機会がないから、共通の会話がないのだ。

別に居心地が悪い訳ではないが、会話がないとどうも落ち着かない。
そろそろ部屋へ戻ろうかと考えていると、視線をテレビへ向けたまま姉者が口を開いた。

∬´_ゝ`)「妹者の事なら心配する必要ないんじゃない?
      あれ位の歳になればみんな思春期が始まっているし
      周りの干渉にうざったく思うものよ」

やはり何だかんだ言っても姉者と言うべきか、発言にぶれがなかった。
恐らくこれが母者や父者なら、本当なのかと疑ってしまうかもしれない。
しかし俺達とそう歳も変わらない、大人の姉者が言う言葉には信憑性があった。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:25:58.10 ID:vuj+wAIt0

( ´_ゝ`)「そういうもんなのか?」

∬´_ゝ`)「そういうもんよ。アンタだって中学生の頃……」

( ´_ゝ`)「さーて、寒いしそろそろ部屋に戻ろうかな」

思い出しても憤死する黒歴史を聞かされる前にリビングから出ていく。
去り際に聞いた悪戯のような笑いに、どう足掻いても姉者には頭が上がらない事を再確認した。

( ´_ゝ`)「しかし……妹者に彼氏か……」

彼氏と確定した訳ではないが、ああも反応されてしまえば疑わざるを得ない。
自室へ戻る途中に見た妹者の部屋が、いつもより遠くに感じた。

部屋に戻ると案の定、弟者が俺のいない隙にパソコンをやっていた。
音を立てずにそうっと背後に近付くと、やり切れない苛立ちを解消する為
弟者の両耳を思い切り引っ張ってやった。

(´<_`;)「痛い痛い痛い痛い!」

( ´_ゝ`)「熟女のエロサイト見てハァハァしてんじゃねーよ」

(´<_`;)「熟女じゃねぇ! 年上が好きなだけだ! この二次ロリコン野郎!」

( ´_ゝ`)「いいから退け、そこは俺の席だ」

ブツブツと文句を言いながら席を立つ弟者を横目に、俺はパソコンの前に座った。
前屈みをしている顔立ちが綺麗な女の画像を消すと、行きつけのスレッドへ足を運ぶ。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:28:01.00 ID:vuj+wAIt0

しかしどういう事か、エロ画像を見ても何も感じない。いつも爆笑するAAを見ても笑えない。
スレの流れは今一番盛り上がっているのに、気分は少しも晴れなかった。
また溜め息が漏れる。考えるのは妹者の事ばかりだった。

表情にも出てしまっていたのか、隣にいる弟者はパソコンではなく俺の方を見ている。
肩に手が置かれる。心配そうな顔をした弟者が俺の頭上にあった。

(´<_` )「何かあったのか?」

やはり持つべき物は兄弟だ。
歳の近い上に殆どの時間を共に過ごしている弟者は、言わずとも俺の事を分かってくれている。

(´<_` )「そんな苦虫潰したような顔をした隣にいても面白くない。聞くだけなら聞いてやろう」

( ´_ゝ`)「弟者……!」

目頭が熱くなる。こんなに優しい弟者は久し振りだ。
泣きそうになるのを堪えながら、俺は弟者に向き合い、先程までの流れを話そうとした。

( ´_ゝ`)「実はな、妹者に男の子から電話があって……」

(´<_`#)「この馬鹿野郎がぁ!」

言葉の続きは言えず、弟者に物凄い勢いで殴り飛ばされた。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:31:19.51 ID:vuj+wAIt0

殴られた反動で椅子から落ち、床に尻餅を付いてしまった。
頬やら尻やらが痛くて涙目になりかけたその時、頭上から物凄いオーラを感じた。
恐る恐る顔を見上げれば、そこには鬼の形相というに相応しい弟者の姿があった。

(;#)´_ゝ`)「痛てぇよ! 何で殴るんだよ!」

(´<_`#)「そりゃ殴るだろ! 何でそんなに悠長としているんだ!
       普通に考えておかしいだろ!」

(;#)´_ゝ`)「おかしいのは脈絡もなく殴るお前だ!」

ひとまず起き上がり、弟者の顔に一発お返しでも食らわせてやろうと思っていた。
しかし弟者は絶望の淵にでも立たされたような顔をしながら、頭を抱えて呻き声を上げている。
そういう顔されたら殴るに殴れないじゃないか。

いつもと違う様子の弟者に心配になった俺は、弟者の肩を叩いて話を聞く事にした。

( <_  )「妹者……何故だ。何故俺の元から巣立っていったのだ……」

(;#)´_ゝ`)「何でお前が落ち込んでいるんだよ」

(´<_`#)「兄者は何も思わないのか! あの可愛い可愛い妹者に寄生虫が付いたのだぞ!
       これを悲しまずに何を悲しめと言うのだ!」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:33:46.75 ID:vuj+wAIt0

そこまで聞いて俺はようやく思い出した。
この流石弟者、自他共に認める程凄まじい筋金入りのシスコンなのだ。

一番古い記憶では、幼い妹者としたままごとで似非結婚式を挙げた際
見ている方が恥かしい位本気にして、妹者を大切にします! などと宣言していた位ヤバい奴なのだ。

無論今では彼女もいる弟者だ。
妹者に対してはちょっと可愛がり過ぎている程度に思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。

( #)´_ゝ`)「だが考えてみろ、実際の所はどうか知らないが友人の可能性の方だってあるだろう。
        それに妹者だってもう小三なんだ。口出しするのもあまり良くないと思うぞ」

姉者の受け売りなのは言わなかった。
ついでに先程口出しして妹者に嫌いと言われた事も胸にそっと閉まっておいた。

(´<_` )「兄者は何も分かっていない……。
       この年頃になると男は男同士、女は女同士で遊ぶものだぞ」

( #)´_ゝ`)「よく分からんがそうなのか」

(´<_` )「つまりだ!」

人差し指を俺の目の前に突き出し、弟者は声高らかに自論を掲げた。

(´<_` )「異性を異性と認識し始めたこの頃、男と女が学校以外で連絡を取り合う。
       どう見たって友人以上の親密な関係だろう!」

(;#)´_ゝ`)「……」

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:36:55.31 ID:vuj+wAIt0

言っている事は分かるが、どうにもズレている気がして堪らない。
けれど妹者の様子を見るに、弟者の言う事も一理ある。そう思った。

今まで他の男友達から電話があっても、あんな態度は決して取らなかった。
何かを隠しながら楽しそうに電話相手と話す妹者を見て
寂しさと同時に嫉妬のような、どす黒い感情を自分の中で感じたのだ。

俺も弟者の事を言えない位シスコン、いや、妹コンだな。

(´<_` )「それで、電話相手はどんな奴だったのだ?」

先程より落ち着きを取り戻した弟者に、ひとまず安心しながら席に着く。
思い出したのは丁寧な言葉遣いの、微かに男を感じるような声をした相手。

( #)´_ゝ`)「多分同じクラスの奴じゃないかなぁ……。
        聞いたことのない声だったし、同じクラスでもない限り接点はないだろう」

記憶の糸を引っ張っていると、俺はある事に気付いた。

『じゃあ、また明日なのじゃー』

そういえば今日は土曜日。明日は当然日曜日で学校はない。
にも関わらず、妹者は電話の相手にまた明日と言っていた。

嫌な汗が額を伝う。先程まで弟者の発言を軽くあしらっていたが
途端にその言葉が現実味を帯びて来た。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:39:49.22 ID:vuj+wAIt0

(´<_` )「どうしたんだ、怖い顔などして」

弟者が何か言っているが、何故か耳に届かない。

今までは彼氏がいるかもしれないという仮定で話をしていた。
しかし休日に出掛けるという事実に、弟者の理論を合わせれば答えは一つ。
電話の相手はかなりの高確率で彼氏、もしくは友人以上に親密な関係である事が察せられる。

見知らぬ男と手を繋いで笑っている妹者を想像しただけで胸が苦しい。
更にキスなどもしているという有りもしない妄想にすら涙が出る。
いや、実際俺の目頭は熱くなり、視界は既にぼやけていた。正しく涙腺崩壊だ。

( #);_ゝ;)「い"も"じあ"あ"あ"ああああぁぁぁ」

(´<_`;)「何でいきなり泣いているんだ」

顔を伏せて泣いていると、今度はしっかりと弟者の驚いた声が聞こえた。
一体弟者に何を言えばいいのか。頭の中で迷いながらも口は勝手に動いていた。

( #);_ゝ;)「デートだなんて……デートだなんて……」

(´<_`;)「何ぃ!?」

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:43:08.25 ID:vuj+wAIt0

考えなしに漏らした言葉にすかさず反応した弟者が、俺の両肩を掴んで揺さぶりを始めた。
前後に身体を揺らされ、脳がグラグラ動いていて気分が悪い。

(´<_`;)「何だ! デートがどうしたんだ! 泣いていないで言え!」

( #);_ゝ;)「ぎも"ぢばるいぶあばばばっばばばぶば」

(´<_`;)「早く吐け! 吐き出せ!」

( #);_ゝ;)「いいのか? 吐いていいの……うっ」

(´<_`;)「吐くなあああああああああ」

しかし俺も弟者も混乱していて、相手の心情を汲み取るどころか会話も成立していなかった。

ようやく落ち着いた頃には二人とも疲れ切っていた。
いつもはどんなに腕が痛くても定位置を貫いていた弟者ですら、両手を付いて息を整えている。
ちなみに吐き出すのはギリギリ堪えた。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:45:56.87 ID:vuj+wAIt0

ひとまず落ち着いた俺は、妹者の最後の発言について話す事にした。

(´<_` )「本来ならば早く言えという意味を込めてもう一度殴ってやりたい所だが
       今はそうも言っていられないからな」

( #)´_ゝ`)「そう言ってくれると有り難い」

これ以上殴られるのは勘弁だ。
しかし、明日妹者が出掛けるとするならば間違なく相手は電話の男だ。

妹者がどんな奴と会っているのか気になる。
二人して腕を組み、考えていると、何気ない様子で弟者が呟いた。

(´<_` )「明日妹者の後を付けてみるか」

( #)´_ゝ`)「……ストーカー?」

(´<_` )「ストーカーではない、尾行だ。問いただしても駄目ならこの手しかないだろう」

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:50:14.61 ID:vuj+wAIt0

確かに他に良い手は見当たらない。
だが普通の神経をした人間なら、尾行されていい気はしないだろう。
普段ならノリノリになって、そうするかと早々に賛同の声を挙げているのだが、今日はそんな気分にはなれない。

何せつい先程妹者に嫌いだと言われたばかりだ。
間違いなく俺より普通の神経をしている妹者は、尾行されたら怒るだろう。
いや、最悪二度と口を聞いてもらえないのかもしれない。

答えを出すのを渋っていると、呆れた顔の弟者が俺に追撃を掛けて来た。

(´<_` )「どこの馬の骨とも知らない輩に妹者を渡していいのか?」

( #)´_ゝ`)「ならん」

(´<_` )「ならば答えは一つだろう。要はバレなければいいのだから」

もしかしたら俺は弟者の後押しが欲しかったのかもしれない。
本当は妹者の素行を知りたいという思いが強いにも関わらず
妹者に嫌われる事が怖くて踏み出せなかったのだ。

無論尾行があまり良い事でないのは俺も弟者も承知だ。
しかしこれはいつもふざけて行なう悪戯とは違う、真剣な尾行なのだ。

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:54:39.99 ID:vuj+wAIt0

( #)´_ゝ`)「そうと決まれば明日は妹者追跡だな」

(´<_` )「まぁまだ外に出るとは決まっていないがな。
       万が一の為に今日はもう寝ろ。明日朝早く出掛ける可能性もあるのだからな」

( #)´_ゝ`)「その前に精神統一も兼ねて幼女スレで画像収集を……」

たまたま見つけた二次幼女スレを開いていると、左から痛い視線を感じた。
そんな目で見てくれるな。これは目の前に美味い飯があれば食いつく事と全く同じ原理なのだ。

(´<_`#)「兄者は妹者より空想のロリが大事なんだな」

(##)´_ゝ`)「何ぃ!?妹者だって大事だが幼女も同じ位大事なんだぞ!
        画像収集したらすぐ寝るからいいだろ!」

(´<_`#)「そう言って夜明けまで起きるつもりだろ!
       クレクレしまくってスレ民から嫌われるだけのクレクレ厨が!」

(##)´_ゝ`)「何だと!」

(´<_`#)「やる気か!」

「うるさいよあんた達! さっさと寝な!」

( ´_ゝ`)「イエス、マザー」(´<_` )

声だけでも威圧感を出せる母者は本当に流石だと思う。
結局弟者からの厳しい視線により、泣く泣く幼女スレを諦める事にした。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:56:50.20 ID:vuj+wAIt0

( ´_ゝ`)「……」

一人になり、天井を見上げながら考えるのは妹者の事。
もし明日本当に電話の男とデートをしていたとして、俺はどんな顔をすればいいのだろうか。
喜んでやるべきか、嫉妬の炎を燃やすべきか。どちらが正しいのだろう。

( ´_ゝ`)「……寝よう」

夜中に考え事をしたって良い事は何もない。

本当なら幼女スレを見て心を落ち着かせようと思っていたが
起きるよりは眠った方が心理的に楽になれるのかもしれない。
何の根拠か勝手にそう決めつけると、俺は布団を被って目を閉じた。

だが普段の生活態度と心配事も相まって、中々寝付けなかった。

ようやく睡魔らしいそれが来たのは、既に空が明るくなり始めた頃だった。
いっそこのまま起きてしまおうかと思った矢先の眠気に耐えられず、俺はそのまま眠ってしまった。
そこで俺は、何だか懐かしい夢を見た。

幼い俺と妹者が二人でどこかへ出かけている夢だった。
それがどこなのかは思い出せないが、記憶の奥で見た覚えのある景色だった。

二人手を繋いで、街を歩く。
妹者も俺も笑って何かを話しているんのだが、声が届かず、内容までは分からなかった。
けれど二人して笑っているのだけは確かで、きっとこれは幸せな夢なんだろうと思った。

根拠なんて一つもないが、勝手にそう思ったんだ。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 00:58:32.51 ID:vuj+wAIt0

( ´_ゝ`)「……」

夢から覚めた感覚は酷く自然で、今まで見ていた夢が嘘か本当か分からなくなった。
無論夢の中の二人は子供で、どう考えても夢なのに、やけにリアルだった。

暫くはぼうっとして天井を見つめる。
太陽の光がカーテンの隙間から差し込んでいて、部屋の一部が明るくなっているのが見えた。

( ´_ゝ`)「そういえば今は一体何時だ」

部屋の壁にかかっている時計を見れば、既に十時を指していた。
普段なら明け方に寝て昼もすぎた頃に起きる俺だ。どちらかと言えば早起きをした方だった。

身体を起こして全身を伸ばす。欠伸を一つして部屋を出ると、家の中がやけに静かに感じた。
日曜の朝はこんな物なのだろうか。そんな事を考えながら階段を下りた。

リビングには姉者が自身の指定席に座って遅めの朝食を取っている。
母者の姿は見当たらない。どこかに出かけているのだろうか。
向かい側の席に座ると、そういえばと思い出して、パンを食らう姉者に問いかけた。

( ´_ゝ`)「妹者は?」

∬´_ゝ`)「いないわよ」

( ´_ゝ`)「そうかいないのか……え?」

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:01:10.52 ID:vuj+wAIt0

姉者の言葉に耳を疑った。
確かに昨晩、弟者がいつ妹者が家を出るのか分からないと言っていた。
そして今現在、ターゲットの妹者は既に家から出ているらしい。

まさかあの弟者に限って。俺は恐る恐る姉者に次の問いかけの言葉を出した。

( ´_ゝ`)「弟者は?」

∬´_ゝ`)「まだ寝てるんじゃないかしら」

姉者の言葉を全て聞く前に、俺は弟者の部屋へ突撃した。
あの野郎。自分から言っておいて寝坊してるじゃないか。
勢いに任せて扉を蹴飛ばし、ベッドの上で眠っている弟者を叩き起こした。

(#´_ゝ`)「起きろ! 起きろこの馬鹿野郎!」

(´<_` )「いや……俺はただの変態紳士ですよ。ははははは……」

(#´_ゝ`)「寝ぼけている場合か!」

目を覚まさせるため、胸ぐらを掴んで滅茶苦茶に揺すってやる。ちなみにこれは昨日のお返しも含まれている。
その内首でも取れてしまうのではないかと思うくらい揺すられて、ようやく弟者の目が覚めた。
未だ寝ぼけているようで、俺の顔を見ると不思議そうな表情をしていた。

(´<_` )「おお、兄者じゃないか。一体どうしたんだこんなに朝早くから」

( ´_ゝ`)「いいか、落ちついて聞けよ、どうやら妹者は出発してしまったらしいぞ」

(´<_` )「……え?」

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:04:27.09 ID:vuj+wAIt0

一瞬何があったのか理解できなかったらしく、間抜けな顔をして俺を見ていた。
その間僅か数秒。答えに行き着くと弟者は起きたばかりとは思えないほどの声を張り上げた。

(´<_`;)「何で早く起きなかったんだ!」

( ´_ゝ`)「そもそも俺が今まで時間通りに起きた例があったか?」

(´<_`;)「確かにないが! 今日くらいは早く起きても罰は当たらないだろう!」

( ´_ゝ`)「そういう弟者は何で寝坊しているのだ?」

(´<_` )「……心配してたら眠れなかったんだ」

よく見れば弟者の目の下に隈が出来ている。
昨晩の暴れ様を見れば大体予想できたが、俺も大概人の事は言えない。

妹者が家を出てどれくらい経ってしまったのかは分からないが、行き先が知れなければどうする事も出来ない。
真実を知るチャンスを逃した俺たちに暗い影が落ちた。

(´<_` )「しかし追跡はもう駄目だな……。妹者がどこにいるのか分からなければ後を追う事も出来ない」

( ´_ゝ`)「……まぁ待て、落ち込むにはまだ早い。俺に秘策がある」

秘策、という程でもないが一つ手がある事を思い出した。
頭を垂れていた弟者の目に希望の光が差して見えた。恐らく俺の目もそう見えているのだろう。

(´<_` )「秘策? 何だそれは?」

( ´_ゝ`)「それを出す前にまずは外に出ようではないか。さぁ、さっさと出かける準備をしよう」

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:08:25.02 ID:vuj+wAIt0

暫く経って、俺も弟者も出発の準備を整えた後、朝飯も食べずに家を出た。
リビングでテレビを見ていた姉者から、飯くらいは食べていけと言われたが、いらないと言った。
俺も弟者も飯より妹者の行方が気がかりで、きっと落ち着いて食べれないだろう。

鳴り響く腹の虫を無視して、俺たちは日曜の太陽を浴びながら当てもなく歩いていた。

(´<_` )「ところで秘策とは一体何なのだ?」

( ´_ゝ`)「焦るな、まずはこれを見ろ」

持って来ていた愛用のFMVを開いて、弟者に見せた。
画面には小さなウィンドウに、俺たちを中心にした地図が描かれている。
少し遅れて、情報受信中というメッセージが現れた。

(´<_` )「何だこれは?」

( ´_ゝ`)「GPS機能さ。とあるツテで入手した超小型発信器だ。
       いざと言うときの為に妹者の鞄に付けていたんだ」

無論冗談だ。連絡用という事で持っている妹者の携帯のGPS機能を使っているだけだ。
小学生と言えど、色々心配だからと言って持たされていた携帯だが、実際の所妹者はあまり使っていない。
電話なら家電を使うし、ネットは時々パソコンで一緒に見る。だから妹者が携帯を使う事自体珍しい。

そもそもこの時期から携帯を持っている小学生はあまりいないだろう。
それに妹者はインドアな俺に似ず、外で遊ぶ事を好んでいる。
GPS機能なんてあっても使わないだろうと思っていたが、まさかこんな所で使うとは思ってもみなかった。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:10:31.41 ID:vuj+wAIt0

画面の地図が妹者の位置を示して点滅している。意外と場所は遠くない。
ここからなら走ればすぐ妹者を発見できるだろう。

( ´_ゝ`)「よーし、それじゃあ行くか……何だその目は」

(´<_` )「俺、今から兄者との距離の置き方を考えようと思う」

(;´_ゝ`)「いやいや冗談に決まってるだろ!? ツテも何もそんな知り合いいない!」

(´<_` )「どっちにしたって町中をパソコン持って歩いている奴なんかと一緒に歩きたくないだろ常考」

(;´_ゝ`)「誰のお陰で妹者を見つける事が出来たと思っているんだ!」

(´<_` )「別に兄者が見つけた訳じゃないだろう。礼なら最新技術に言っておく」

位置を確認した弟者は、俺を置いて先へと歩いていく。
少しくらい感謝をしてもいいだろう。誰にも聞こえない位の小さな呟きを零すと
パソコンを閉じて、弟者の後を追いかけた。

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:13:37.80 ID:vuj+wAIt0

妹者がいたのは駅前のデパートの中だった。
日曜という事で人でごった返していたが、意外にも妹者の姿はすぐに発見できた。

全五階建てのビルの、一階の広場に一人座っている。
電話の相手を待っているのか、暇そうに辺りを見渡している妹者は
気のせいかいつもより可愛く見えた。

普段は下ろしているおかっぱの髪を二つに結び、可愛らしい洋服に身を包んでいる。
それは確かに妹者なのに、妹者じゃない別の女の子のようだった。

( ´_ゝ`)「妹者……」

少し離れた所で妹者の様子を見る。俺の隣にいる弟者も、俺と似たような顔をしていた。
さっきまではあれやこれやと二人して話していたのに、今は会話一つ交わさずにいた。

l从・∀・ノ!リ人「もー、遅いのじゃー!」

(;´_ゝ`)「!」

(´<_`;)「!」

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:16:56.14 ID:vuj+wAIt0

頬を膨らませながらも、柔らかく微笑む妹者に驚きを隠せなかった。
それは、いつも見せる無邪気なあの笑顔とは違う。大人びた笑みをしていたんだ。
妹者でもあんな表情をするのかと思うと、相手が憎らしくて堪らなくなった。

(´<_`;)「兄者、奴が例のホシか?」

次いで妹者の前に少年が現れた。
妹者よりも小さな身体をしている少年は、その身体に似合わぬ大きな眼鏡をかけていた。
妹者の前に立つと、照れたように笑い、自ら手を繋いで来た。

それは昨晩電話で聞いたときと同じ、子供ながらに男を感じさせる声をしたそいつだった。

(-@∀@)「ごめんね、忘れ物してたみたい」

l从・∀・ノ!リ人「アサピーはおっちょこちょいなのじゃ! 早く行くのじゃ!」

(;-@∀@)「待ってよ妹者ちゃん、そんなにひっぱらないで」

アサピーとか言う男の子と妹者は、二人並んで人波の向こう側へ行ってしまった。
仲良く手を繋いでいる二人は、本当に恋人同士のようだった。

いや、実際恋人同士なのかもしれない。
妹者とアサピーを包む空気は友人のそれではない。
もっと別の、友人以上の何かを感じさせた。

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:19:21.47 ID:vuj+wAIt0

(´<_` )「兄者、後を追うぞ」

( ;_ゝ;)「妹者……本当にそうだったんだな……」

(´<_` )「泣いている場合か。
      ただでさえ人も大勢いるのだ、ここで見失ったら探すのが面倒だぞ」

確かにいくらGPSで位置を把握していると入っても、当然ながら店内では使う事は出来ない。
本格的に見失う前に追わなければ。
俺は溢れる涙を拭い、弟者に対して同意の頷きを見せた。

(´<_` )「妹者達は上の階へ行ったようだ。早く行くぞ」

するりと人と人の間をすり抜ける弟者の後に続くが、先程から人にぶつかってばかりだ。
そもそも人が多い所はあまり得意ではない。けれど愛する妹者の為なら、例え火の中人の中。
迷惑そうな視線に耐えながら、先へと進んだ。

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:21:31.19 ID:vuj+wAIt0

l从・∀・ノ!リ人「美味しいのじゃー」

(-@∀@)「ねー」

二階のフードコートに妹者達の姿を確認した。
そこで二人はアイスを片手に、何やら楽しそうに話をしていた。

俺と弟者は互いにそれぞれ一枚ずつ新聞の真ん中だけ穴を開けて、そこから様子を観察していた。
時々通りすがりの少年達が穴に指を突っ込んで来て
あやうく目潰しを食らいそうになったりするが、何とか回避した。

詳しい会話までは分からないが、この数分間で分かった事が一つある。
それはこのアサピーという奴との関係が、それなりに親密な関係である事を指していた。

落ち込みから回復する兆しが一向に見えない。
新聞紙越しの二人を見て、思わず溜め息を吐いた。

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:23:44.70 ID:vuj+wAIt0

( ´_ゝ`)「やっぱりあれ恋人の線が高いだろうな……」

(´<_` )「そうだな、兄者」

( ;_ゝ`)「うわぁ……やばいまた涙がでてきそうだ」

(´<_` )「もう出ているぞ、兄者」

( う_ゝ`)「何と言うか、こういう話は聞いている側になるとシスコンって笑い飛ばすんだが
       当事者になると凄く気持ちが分かるな。キツい物がある」

(´<_` )「そうだな、兄者」

( ´_ゝ`)「それより弟者、そのバールのようなものは一体何だ?」

どこから持って来たのか、傍らにバールのようなものを持っている弟者に寒気を感じた。
たった今、全く同じ感情を抱いているであろう弟者の心境は分かる。
しかしバールのようなものからは嫉妬と寂しさと憎しみと同時に、悪意が感じられた。

(´<_` )「何、まだ見ぬ子孫の血を潰えさせようと思ってな」

( ´_ゝ`)「すまない、まだ身内に逮捕者を出したくないんだが」

(´<_` )「案ずる事はない。バールのような物に兄者の名前を書いておいた」

( ´_ゝ`)「もはや嫌がらせというレベルを超えたな。取り敢えずそのバールのような物はボッシュートだ」

頭の中で軽快な音楽が鳴り響きながら、弟者の持っていたバールのような物を強制的に没収した。
俺よりはまともな考えの持ち主である弟者だから、大丈夫だとは思うが念には念を入れてだ。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:26:02.38 ID:vuj+wAIt0

いつの間にかアイスを食べ終えていた妹者達はベンチに座って楽しそうにおしゃべりをしている。
これぞまさに恋人同士の語らい。また涙が出てきそうになった。

( ´_ゝ`)ギュルルル

(´<_` )グギュルル

ほぼ同時に腹の虫が音を上げる。時刻は既に昼時を回っていた。

( ´_ゝ`)「腹減った」

(´<_` )「そういえば朝から何も食べていないからな」

( ´_ゝ`)「俺たちも何か食べよう。ここに座っているから弟者が買って来てくれ」

(´<_` )「財布を持ち合わせていないならそう言え」

( ´_ゝ`)「持っているが使いたくないだけだ」

(´<_` )「俺に幾ら借金しているのか覚えている上で言っているのなら買いにいこう」

流石に何も食べずにいるのはあまり宜しくない。
弟者の言葉を聞かないフリして、遅めの朝食を買いに行かせた。

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:28:13.91 ID:vuj+wAIt0

一人になった俺は妹者と一緒にいる男の子こと、アサピーを観察する事にした。

一見何の変哲もないショタに見えるが、その佇まいからはどこか大人びているような物を感じさせる。
今まで妹者と遊んで来た男の子達とはまた別のタイプだった。
言うならば真面目な学級委員長のような男、という感じだ。

見た感じ、卑屈な感じはしないからいい人なんだろう。しかしそれが逆に嫌になる。
これがかなりのDQNだったら嫌悪感たっぷりで妹者に付き合うな! などと言えただろう。
ああも良い男だと、文句を言った所でただの嫉妬じゃないか。

(-@∀@)「ん……?」

(;´_ゝ`)「!?」

新聞紙の穴から見ていたらアサピーと目が合った。
気のせいだろうと思ったが、確かに目が合った。

穴から観察するのを止めて新聞で顔を隠す。
妹者とアサピーの姿は確認できなかったが
雑踏の中、微かに二人の会話が聞こえて来た。

(-@∀@)「妹者ちゃん、行こう」

l从・∀・ノ!リ人「急にどうしたのじゃ?」

(-@∀@)「いいから行こう」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:31:30.39 ID:vuj+wAIt0

その会話を聞いて慌てて新聞紙から顔を出すと、既に二人はベンチにいなかった。
辺りを見渡してどこにいるのかと探すも
身長が小さな小学生は背の高い大人に埋もれてしまい中々見当たらない。

何という失態。早くも二人を見失ってしまった。

(´<_` )「買ってきたぞー……何でそんな青ざめた顔をしているんだ」

両手に弁当を持った弟者が帰って来た。
風に乗って香る弁当の美味しそうな匂いに唾液が出るが
今は弁当の方に気を取られている場合ではない。

(;´_ゝ`)「いや……その、妹者達を見失った」

気まずいが本当の事を言わなければ。
首を傾げながら俺の隣に座る弟者に、俺は見失った事を弟者に伝えた。

当然と言えば当然だが、弟者は俺の顔に昨晩と同じ拳を食らわそうとした。
だがそこは俺だ。同じ手は二度も食らわず、華麗に避けたらもう片方の拳が俺に襲いかかって来た。
思ったよりは痛くなかったが、こうも殴られては兄としての面目が丸潰れだろう。

(´<_`#)「馬鹿野郎! 何を暢気に座っているんだ! 今すぐ探すぞ!」

(;´_ゝ`)「でも弁当……」

(´<_`#)「後で食べればいい話だろう!」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:34:01.19 ID:vuj+wAIt0

弟者に首根っこを掴まれて無理矢理立ち上がらせられた。
どう考えても体勢が苦しいのに、弟者はそれを分かっていないのか
俺を引きずりながら走って行く。

( ´_ゝ`)(花畑の向こうでソニンたんが手を振っている……)

(´<_`;)「どこだ! どこへ行った!?」

走馬灯の中、俺の中に一つの疑問が生まれた。
凝視していたとはいえ、それなりに遠い距離から見ていたのに
どうしてアサピーは俺に見られているとすぐに分かったのだろうか。

( ´_ゝ`)(偶然にしてはやけに的確だしなあ……)

(´<_`;)「あ! あれか!?」

( ´_ゝ`)(もしかして周りを警戒する必要がある何かがあったのか……?)

(´<_`;)「な……何だと!?」

( ´_ゝ`)(例えば人気のない所でいちゃいちゃうっふんあっはん……)

(´<_`;)「おい! 兄者! いつまで引きずられるつもりだ!」

(#;_ゝ;)「許すまじいいいいいいいぃぃぃぃ!」

(´<_`;)「何一人でハッスルしてるんだ! 妹者がヤバい!」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:38:12.40 ID:vuj+wAIt0

弟者にはたかれて目が覚めた。一体俺は何をしていたんだろう。

( ´_ゝ`)「それよりヤバいって?」

(´<_`;)「妹者と眼鏡君が黒ずくめっぽい男達に連れ去られた!」

(;´_ゝ`)「バーロー……じゃなくてええぇ!?」

(´<_`;)「いや、連れ去られたというか、追われているというか……。
       何か良く分からんが黒ずくめっぽい奴らが二人を捕まえようとしていたんだ」

ちょっと意識を飛ばしていた間に大変な事になっているみたいだ。
弟者の話を整理すると、どうやら黒ずくめっぽい男達が妹者とアサピーを捕まえようとしていたらしいが
寸でのところで逃れた二人はそのまま上の階へのぼって行き、ひとまず助かったそうだ。

だが黒ずくめっぽい男達もその後を追って上へ行ったらしい。
周囲の人は何事かと皆一様に戸惑いの表情を見せている。
それは俺も同じだった。

(;´_ゝ`)「これは……一体どういうことだ」

(´<_` )「事情は知らんが、あの眼鏡君絡みなのは間違いないな……。
       兄者、バールのような物をよこせ」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:40:45.29 ID:vuj+wAIt0

よこせ、と言って弟者は手を差し出したが、俺はただその手を見つめていた。
確かに今は妹者の危機だ。
しかし、弟者は妹者の事になると周りが見えなくなるという事も知っている。

万が一の話だが、もし弟者が冗談抜きで暴れて俺は止められるか分からない。
保証もないのに渡す訳にはいかなかったが、弟者の目は本気だった。
答えを渋っていると、待てずに苛々した弟者が無理矢理バールのような物を奪ってしまった。

混乱している人の波をかき分け、エスカレーターを上ろうとする弟者の前に両手を広げて立ち塞ぐ。
バールのような物を持って構える弟者の前に立つのは正直怖い。
けれど、色々あって混乱している弟者の頭を一度冷まさなければ。そういう思いが俺の中にあった。

(´<_`#)「どいておにいちゃん! あいつら殺せない!」

(#´_ゝ`)「落ち着け! 俺は妹者も大事だ!だが同じ位弟者も大事だ! 妹者だってお前の事が大事だろう!
       仮にお前がアサピーや黒ずくめっぽい男達の仲から誰か一人やっちゃったとしよう!
       誰が悲しむと思うんだ!?」

(´<_`;)「それは……」

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:42:32.67 ID:vuj+wAIt0

( ´_ゝ`)「妹者に彼氏が出来て嫌なのは俺も一緒だ。だが、どうしようも出来ない事だってあるだろう
       悔しいがアサピーは良い男だ。だからこそ余計に悔しい」

(´<_` )「……」

( ´_ゝ`)「バールのような物を片手に暴れるお前何てお前らしくない。
       妹者離れが出来ないのはお互い様だが、ここらで一つ大人になろうではないか。
       だからそのバールのような物はボッシュートだ」

(´<_` )「だが断る」

(;´_ゝ`)「お前今までの俺の話聞いていたか!?」

多分俺の中で五本指に入る名言を言ったのに、あっけなくそれらの言葉が一蹴されてしまった。
バールのような物を握る弟者の手が緩む。もうバールのような物からは悪意を感じなくなっていた。

(´<_` )「聞いていたさ。俺だって何となく分かっていた。あの眼鏡君は悪い奴などではない。
       妹者の楽しそうに笑っている顔を見て思ったんだ。
       妹者が幸せになってくれるなら、俺が無闇に掻き回す必要はどこにもないって事もな」

( ´_ゝ`)「弟者……」

(´<_` )「だがあの黒ずくめっぽい男達が本当にヤバい奴だったらどうする?
       俺たち二人、丸腰じゃ勝てる訳がない。最悪、ミイラ取りがミイラになるだろう」

確かにそうだ。俺は普段から引き蘢っているも同然の生活をしているし
弟者だって運動神経がいいだけで、喧嘩が強い訳じゃない。

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:44:41.77 ID:vuj+wAIt0

(´<_` )「心配せずとも最初から相手に危害を加えるつもりはない。第一に考えるのは妹者と眼鏡君の救出だ。
       ここで油を売っている暇はない。さっさと行くぞ」

( ´_ゝ`)「……ああ、行くとしよう」

弟者が俺の横をすり抜ける。その後に、俺が続くようにしてエスカレーターを駆け上る。
心配する必要なんてどこにもなかったようだ。むしろ心配していた俺が恥ずかしいくらいだ。
流石は俺の弟。物分かりがいい奴だ。

上へ上へと上るにつれて、人のざわめきが大きくなってくるような気がした。
恐らく妹者達は屋上まで上っているんだろう。

エスカレーターを上っているとはいえ、日頃運動をしていないのが祟り早くも息切れを起こしていた。
しかし今は一刻を争う事態。歯を食いしばり、腕を大きく振って弟者に遅れを取らないように走った。

(;´_ゝ`)「着い……た……」

(´<_`;)「流石にキツいな……」

屋上はちょっとした遊び場になっているらしく、子供達が元気に遊んでいた。
子供達に紛れるようにして黒ずくめっぽい男達が何かを探すように動き回っていた。

きっと妹者達を探しているんだろう。
どこにいるのか、姿は見当たらないが、恐らくこの屋上のどこかに隠れているに違いない。
先に妹者達の安否を確認するべきか、この黒ずくめっぽい男達から倒すべきか。

( ´_ゝ`)「弟者、どうしようk」

(´<_`#)「イケメン踵落としぃ!」

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:47:18.27 ID:vuj+wAIt0

相談しようとしたその矢先に、弟者が黒ずくめっぽい男の一人に蹴りを食らわせていた。
奇妙な叫び声をあげて倒れた黒ずくめっぽい男声を皮切りに、うららかな屋上のひとときは崩れようとしていた。

子供達だけではなく、付き添いの大人達まで俺達を見ている。
弟者がゆっくり俺の方を振り向く。その額には汗が一筋流れていた。

(´<_`;)「勢いでやった。今では反省している」

(;´_ゝ`)「勢いで踵落としする奴がいるか!」

(´<_`;)「だって目に入ったから先にやっつけた方がいいかと思って……」

(;´_ゝ`)「後先考えないでやるからこんな事に……弟者危ない!」

暢気に会話をしていたのが不味かった。
別の黒ずくめっぽい男が弟者の背後に来ている事に気がつかなかったのだ。

俺の声に弟者は、何事かと思い後ろを振り向く。
振り向いた瞬間には、黒ずくめっぽい男が既に棒を弟者に向かって振り下ろしていた時だった。

弟者の身体が強張るのが見えた。
人間、危機に立たされると何も出来ずに動けなくなってしまうパターンと
火事場の馬鹿力のように驚異的な何かを発揮するパターンがあるらしい。

弟者が前者なら、俺は後者だった。

(;´_ゝ`)「させるかぁ!」

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:49:10.95 ID:vuj+wAIt0

滑り込むように弟者と黒ずくめっぽい男の間に割って入った。
正しく言うならば、弟者を全身で突き飛ばして俺が黒ずくめっぽい男の攻撃を受けたのだ。
しかし身体に痛みは襲ってこない。何故なら俺は持っていた鞄を縦に攻撃を無効化させたからだ。

( *´_ゝ`)(ヤバい、今の俺すげぇ格好いい)

人垣の向こう側から子供達の声が上がる。今この瞬間、俺は正義のヒーローになっているんだ。
自然と頬が緩む。こんな状況なのに、俺はすっかり有頂天になっていた。

(´<_`;)「兄者、感動に浸っている所で悪いが、その鞄の中にFMVが入ってないか?」

( ´_ゝ`)「え?」

そういえば棒を受け止めた時、何か鉄のような物が打ち砕かれる音がした気がする。
鞄の中を確認すると、信じられない光景がそこにはあった。

(  _ゝ )「俺の…………FMVが……」

表面にはひびが入っている。中を開いてみると、液晶はぼろぼろだ。
可能性はほぼゼロに等しいと分かっていながらも、電源ボタンを何度も押した。

しかし、こんな状態になって着く方がおかしい。
パソコンはうんともすんとも言わず、俺の前で静かに死を迎えていた。

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:52:49.13 ID:vuj+wAIt0

( ;_ゝ;)「ああ……さようならソニンたん……さようなら可愛い俺の妹達……さようなら俺の嫁…………」

(´<_`;)「兄者、気持ちは分からんでもないが今はそんな場合じゃないだろう」

(#´_ゝ`)「そんな場合だと!? FMVは俺の心の友、いや家族だ!
       それを失った気持ちがお前に分かってたまるか!
       あの時お前が避けていればFMVはこんな目に遭わずにすんだかもしれないのに!」

(´<_`#)「自分から攻撃を受けておいてそれはないだろう!
       ちょっとでも兄者を見直した俺がおかしかったようだな!
       この二次元ロリコン! そのまま一緒に砕かれてしまえ!」

(#´_ゝ`)「何だと!」

(´<_`#)「やる気か!」

俺は壊れたFMV、弟者はバールのような物を持って黒ずくめっぽい男達に向かって突撃した。
それまで俺達の言い合いを見ていたのだろう黒ずくめっぽい男達は
矛先が自分達に向かっている事に対し、戸惑いの表情を見せていた。

だが、先程弟者に対して敵意を見せた相手だ。
すぐにその戸惑いは消えて、男達は俺達を迎え撃つ体勢に入っていた。

黒ずくめっぽい男達は全員合わせて六人。
どちらにせよ、妹者達が無事に逃げてくれればそれで良かった。


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 01:55:15.02 ID:vuj+wAIt0

(#´_ゝ`)「畜生おおおおおおぉぉぉぉ!」

FMVを壊された怒りでいっぱいだ。
俺は黒ずくめっぽい男達に力一杯FMVを叩き付けていた。

(#´_ゝ`)「これはFMVの分!」

一発、男の顔面に当たる。

(#´_ゝ`)「これは俺の分!」

もう一発、男の頭に当てる。
打ち所がちょうど良かったのか、男はそのまま気絶して倒れてしまった。

(#;_ゝ;)「そしてこれが俺の精神的な苦痛の分だあああああああ!」

次々と襲いかかってくる男達に、俺はFMVを無茶苦茶に振り回した。
遠巻きから見ている弟者がどこか悲しげに見ているような気がしたが、気にしない事にした。

暫く黒ずくめっぽい男達との攻防戦を続けてると、屋上に誰か別の人達がやってくる音が聞こえた。

73 :>>72訂正:2009/05/01(金) 02:00:46.85 ID:vuj+wAIt0

( ´ー`)「警察だ、お前ら暴れるんじゃネーヨ」

( #);_ゝ;)(やったぞ! これで勝てる!)

黒ずくめっぽい男達によって随分やられた俺は、普段は嫌っている警察が神のように見えた。
これで奴らも御用という訳だ。安心したからか、全身の力が抜けてそのまま座り込んでしまった。

( #);_ゝ;)「これで俺のFVMも報われる……?」

しかしどういう事だろう。警察は黒ずくめの男達を捕まえず、何か話し込んでいるようだった。
遠くでバールのような物を支えに立っている弟者も、不思議そうに警察の動きを見ている。
嫌な予感しかしない。そう思っていると、警察が俺の所に来て肩を叩いた。

( ´ー`)「ちょっと話をさせてもらうんじゃネーヨ」

にこやかな態度の警察が悪魔に見えた。
俺達が何をしたというんだ。俺と一緒に弟者も連行されて、そのまま警備室まで御用となった。

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:03:30.18 ID:vuj+wAIt0

( #)´_ゝ`)「はい……だから俺達は何もしてませんから……」

("<_`(# )「そうなんですよ……このバールのような物も……兄の物なんですよ……」

(;#)´_ゝ`)「待て! 何で俺の物になってるんだ!」

("<_`(# )「ほらここ……名前が書いてるじゃないですか……」

(;#)´_ゝ`)「いやいや違う! 俺のじゃない! 俺は悪くない!」

( ´ー`)「シラネーヨ、いいから白状しろ」

(;#)´_ゝ`)「それでも俺はやっていないいいぃぃ!」

警備室で俺達は、あらぬ疑いをかけられていた。
何でも小学生の後を着けていた怪しい二人組としての疑いを向けられたらしい。

後を着けていたのは事実だ。しかしれっきとした理由が俺達にはあった。
それを説明しても警察は信じてはくれない。
俺達と妹者の顔が似ていない事がここで仇となった。

このまま逮捕されたら俺の人生黒薔薇色だな。
半ば諦めていると、重苦しい警備室に救いの手がやって来た。

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:06:11.64 ID:vuj+wAIt0

l从;・∀・ノ!リ人「おっきい兄者! ちっちゃい兄者!」

(;-@∀@)「妹者さんのお兄さん!」

一体どこでここにいることを聞いたのだろう。妹者とアサピーが警備室に駆け込んで来た。
その後ろには、俺や弟者が着けた傷を受けている黒ずくめっぽい男達がいる。

男の中の一人が、警察に声を掛けて何やら小声で話をする。
涙目になっている妹者を抱きかかえてその様子を眺めていると
男と話していた警察が俺のところまで歩いて来た。

( ´ー`)「君たちは本当に兄妹なのかヨ?」

( #)´_ゝ`)「だからさっきからそう言ってるんじゃないですか」

( ´ー`)「それで、妹さんのデートの様子が知りたくて尾行していたと……」

("<_`(# )「そういう事です」

( ´ー`)「ふーん……」

若干無に落ちないような表情をされたが
ひとまず俺達は厳重注意の上で自由の身となった。

デパートを出るともう空が水色から茜色へと変わろうとしている。
もうそんな時間なのかと、驚いてしまった。

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:09:41.24 ID:vuj+wAIt0

それまでずっと妹者の隣にいたアサピーは、デパートを出ると俺と弟者に頭を下げた。
あまりに突然の事だったから、俺だけではなく妹者も黒ずくめっぽい男達も驚いている。
アサピーは頭を下げながら、震える声でごめんなさいと言った。

(-@∀@)「僕、妹者さんのお兄さん達のことをガードマンだと思っていたんです」

ガードマン、と聞いて俺はアサピーの後ろにいる男達のことなのだと理解した。
こんな小さな子供に六人ものガードマンが着くんだ。
アサピーの家がどれほど凄い家の子供なのかが、すぐに分かった。

(-@∀@)「もうすぐ母さんの誕生日だから……。
     今年は執事やメイドが用意したプレゼントじゃなくて自分で買ってあげたかったんです。
     でも僕、何をあげたらいいのか分からなくて、妹者さんに相談して……」

( #)´_ゝ`)「アサピー君……」

(-@∀@)「ごめんなさい、お兄さん達に迷惑を掛けてしまって。
     ガードマンに見つかったら家に連れ戻されてしまうから、だから逃げたりしたんです」

("<_`(# )「そしてガードマン達は俺達を眼鏡君を狙っている輩だと思って
       警察に引き渡したんだな。」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:11:45.48 ID:vuj+wAIt0

黒ずくめっぽい男達こと、ガードマンの男達もアサピーに続いて頭を下げた。

( ゚∋゚)「本当に申し訳ありませんでした」

("<_`(# )「いや、正直俺達からそっちに手を出したんだ、本来謝るべきなのはこっちだ」

( ゚∋゚)「しかし……こちらとしては坊ちゃまの友人の兄上様に危害を加えてしまった身です。
     何かお詫びをさせてください」

("<_`(# )「いや、本当にいいですから」

( #)´_ゝ`)「じゃあFVMを無料で修理に出してくだsぼげらっぶ」

うっかり出た本音を弟者の拳によって遮られた。
あまりの痛さに踞ってしまうと
心配そうに俺の方を見ているアサピーが、おずおずとした様子で話しかけて来た。

(-@∀@)「気にしないでください。お兄さんの大切な物は僕達の方が壊したも同然です」

ああ、こいつは本当に良い男だ。
大人になったらきっと嫉妬するくらいのイケメンになるに違いない。俺が保証する。

良い歳した男が小学生に擦り寄る光景は、傍から見て奇妙な物に見えるだろうが気にしない。
悔しいが今の俺にはアサピーが神に見えるんだ。

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:14:01.74 ID:vuj+wAIt0

("<_`(# )「ところで無礼な事を尋ねるが、ウチの妹者とはどういった関係なんだ?」

弟者がしゃがみ込み、アサピーの目をしっかりと見つめながら問いかけた。
決してアサピーを子供として扱っている訳ではない。
正真正銘の男として聞いているのが、目を見て分かった。

どう返答しようか考えているのだろう、アサピーは俯きながら何かを呟いていた。
流石にいつまでもくっついたままではいられないと思い、弟者の隣に座ってアサピーの返答を待つ。

この待っている時の時間が凄く怖い。
唾を飲み込み、顔を上げたアサピーの方を見つめる。

(-@∀@)「妹者さんとは学校で仲良くさせて貰っているお友達です。
     お兄さん達が心配しているような事は何もないですよ」

( #)´_ゝ`)「……本当に?」

(-@∀@)「はい」

("<_`(# )「それは確かなんだな?」

(-@∀@)「勿論です」

力が抜けたとはこの事を言うんだろう。
俺も弟者も脱力して、喜びの笑みを浮かべていた。

本来ならば歓喜の声を上げてはしゃぐのだろうが、それすらも通り越した喜びになっている。
無論アサピーではいけなかった訳ではない。
ただ、やはり彼氏だとか恋人だとかという関係でなかった事に安堵したのだ。


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:15:29.95 ID:vuj+wAIt0

( #);_ゝ;)「よ……良かった……」

("<_;(# )「ああ……本当に良かったな、兄者……」

アサピーとガードマンの男達が、俺達を見て笑っている。
決して嘲笑の意味ではない。その笑みからは悪意も何も感じなかった。

(-@∀@)「僕もお兄さんが欲しかったなぁ」

l从・∀・ノ!リ人「アサピーは一人っ子なのじゃ?」

(-@∀@)「うん、だから妹者ちゃんが羨ましいよ。妹者ちゃんはお兄さん達に愛されているんだね」

アサピーの言葉に、妹者が照れたように笑うのが見えた。
愛されている、なんて言われるとこっちまで恥ずかしくなるじゃないか。

ガードマンの一人がアサピーに耳打ちをすると、すぐに電話をし始める。
アサピーは再度俺達に頭を下げると、子供らしい明るい笑顔を向けて来た。

(-@∀@)「それじゃあ僕達はこれで失礼します。妹者さん、どうもありがとう」

l从・∀・ノ!リ人「いいのじゃ! それじゃあまた明日なのじゃー!」

数秒後、俺達の前に映画でよく見る黒のリムジンが現れた。
アサピーはリムジンに乗り込むと、窓を開けて妹者に手を振った。
リムジンに乗って颯爽と消えて行ったアサピーは、最後まで本当に良い男だった。

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:17:31.55 ID:vuj+wAIt0

夕焼けの帰路を三つの陰が手を繋いで歩いている。
妹者の右手は俺が、左手は弟者が握り、何事もなく今日が終わる事を嬉しく思っていた。

( #);_ゝ;)「ああ! 本当に良かったな弟者!」

("<_;(# )「全く持ってその通りだな! 兄者!」

l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者もちっちゃい兄者も心配性なのじゃ」

( #)う_ゝ;)「心配するだろう!
        大体彼氏ではないなら何故あんなに電話の内容を聞かれないようにしていたんだ!」

アサピーの友人発言からずっと抱いていた疑問を投げかけた。
そもそも妹者が隠すような素振りを見せなければ、追跡までする事はなかったと思う。
勝手に俺と弟者が暴走したような物だが、全ての始まりであるあの電話の反応が気にかかった。

l从・∀・ノ!リ人「姉者のプレゼントを買おうと思ったのじゃ」

( #)´_ゝ`)「姉者の……?」

姉者のプレゼント、と聞いて俺はすぐに何を言われているのか分かった。
もうすぐ姉者は結婚をする。その為のプレゼントをあげたくて出かけていたのだろう。

妹者の視線が足下に落ちる。俺の左手を握る小さな手が強くなった。


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:19:58.33 ID:vuj+wAIt0

l从・-・ノ!リ人「秘密にしたかったのじゃ。聞かれたら、まだ子供だから気にするなって言われそうな気がしたのじゃ。
       誰かが選んで買ったプレゼントを渡すより、妹者が自分で選んだプレゼントを渡したかったのじゃ。
       だから、アサピーと一緒にプレゼントを探しに行ったのじゃ」

( #)´_ゝ`)「妹者……」

正直、そこまで考えていたとは思わなかった。
きっと母者から貰う少ないお小遣いを貯めて、誰にも知られず自分のプレゼントをあげたかったんだろう。

俺に取っては四人兄弟の中の姉でも、妹者にとってはたった一人の女兄弟だ。
やれ彼氏だ何やらという考えをしていた自分が、途端に恥ずかしくなってしまった。

俯いていた妹者の目が俺を捉える。
澄んだ瞳の中に、俺の情けない顔が映っていた。

l从・∀・ノ!リ人「おっきい兄者、昨日は嫌いなんて言ってごめんなのじゃ」

(;#)´_ゝ`)「い、いやいや! そんな事で俺落ち込まないし!」

("<_`(# )「涙目だったくせに」

(;#)´_ゝ`)「なななな、泣いてねーよ!」

泣いたけど妹者には知られたくなくて、大げさに右腕で目元を擦った。
くすくす笑いながら俺を見ている妹者が、何かを思い出したように俺達二人に話しかける。

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:22:27.72 ID:vuj+wAIt0

l从・∀・ノ!リ人「そういえば妹者、昨日懐かしい夢を見たのじゃ」

("<_`(# )「夢?」

l从・∀・ノ!リ人「昔、みんなでデパートに言った時、妹者とおっきい兄者が迷子になったの夢なのじゃ。
       妹者、ずっと泣いていたのに、おっきい兄者はずっと笑っていたのじゃ」

( #)´_ゝ`)「あ……」

その夢に聞き覚えがあった。それと同時に昔の事を思い出した。
昨晩見た夢、俺も妹者も笑っている夢は違っていたんだ。
妹者はずっと泣いていて、本当は俺も半分くらい泣いていた。

けれど俺が泣いている訳にもいかなくて、妹者を笑わせてやろうと色々話しかけていた。
ほうら見ろ、ここはまるで街みたいだろう。
一日中太陽が出ている、明るい街なんだ。

だからすぐにみんなの姿を見つける事が出来るんだ。
だから泣かないで、笑って歩こう。

もう今は鮮明には思い出せない昔の記憶。
けれどそれは、確かに温かな記憶として、俺と妹者の中に残っていたんだ。

("<_`(# )「そういえばそんな事あったな。もう大分前の話になるが」

l从・∀・ノ!リ人「えへへ。朝起きたら懐かしくて、嬉しくなったのじゃ!」

( #)´_ゝ`)「……」

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/01(金) 02:37:48.37 ID:vuj+wAIt0
妹者が笑う。昔から知っている、くしゃくしゃになる笑顔だ。
けれどいつかはアサピーと一緒にいる時にした、俺も知らない顔で笑う日が来るんだろう。

今は俺もまだ子供だから、妹者に本当の彼氏が出来て、快く思わないかもしれない。
特に弟者なんか、絶対に快く思わないだろう。
最悪またバールのような物で振り回す可能性だってある。

l从・∀・ノ!リ人「でも妹者、今日分かった事があるのじゃ!」

( #)´_ゝ`)「何だ?」

l从・∀・ノ!リ人「好きな人が出来たら絶対に兄者達には教えないのじゃ!」

(;#)´_ゝ`)「えええぇぇ……」

("<_`(#;)「何でだよ……」

l从・∀・ノ!リ人「だっておっきい兄者もちっちゃい兄者も怖いのじゃ」

(;#)´_ゝ`)「……正直事実だから何も言えない」

("<_`(#;)「だな……」

だけど、いつか大人になって妹者を嫁に欲しがる奴が来たら、嫉妬より先に喜びの意を伝えよう。
妹の幸せを願わない兄なんてどこにもいない。だから俺が一番に妹者の幸せを祝ってやろう。
それがいつになるのかは知らないが、その日が来るまでには妹者離れが出来るようにしようではないか。

l从・∀・ノ!リ人「でも今は、おっきい兄者とちっちゃい兄者が大好きなのじゃ!」

何だって、俺は妹者の兄なのだからな。

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